5月13日、大館市消防署の菅原和幸さん、阿部和也さんを講師にお呼びして、わわわde子育てカフェにて「乳幼児の救急講座」を開催しました。
乳幼児のお世話をしているときに起こりやすい以下の内容について、対応や応急手当を教えていただきました。

1.熱性けいれんをおこした時の対応
2.誤嚥(ごえん)した時の対応
3.やけど(熱傷)をした時の応急手当
4.転倒をして頭を打った時の対応(このページ)
5.救急車を呼ぶ時のポイント

4.転倒をして頭を打った時の対応

転倒したら、意識の有無・呼吸と心拍の有無を確認する
<意識の有無の確認>
・手足を動かしているか
・足の裏を刺激したら、反応があるか

(足の裏を指摘して反応を見る)<呼吸と心拍の有無の確認>
・胸やお腹の上がり下がりがあるか、普段どおりの呼吸をしているかどうかを見る
・チアノーゼが起きている(皮膚が青い)場合や、呼吸が10秒に1回よりも少ない場合は、胸骨圧迫してOK② 呼吸をしているけれど意識がない場合
子どもは大人に比べて気道が狭く、仰向けに寝かせると舌の根本が下がって気道が塞がり窒息してしまう可能性が高いため、「意識を失ったら仰向けにしない」ことが大事です。
(舌の根本が下がる状態を、模型で説明)横向きの「回復体位」で救急車を待ちましょう。

 
(上手に回復体位のお手本を見せてくれた赤ちゃん)

意識がなく、心臓も呼吸も止まっている場合
・人工呼吸を行う(2回)

乳児の鼻と口を、自分の口を覆うようにして人工呼吸を行う
・胸骨圧迫を行う(30回)
圧迫する位置は、両乳頭を結ぶ線の少し足側。
胸骨圧迫は、指2本で行う。
圧迫の強さは、胸の厚さの3分の1がへこむのを目安に押す。
・人工呼吸2回→胸骨圧迫30回を救急車が到着するまで続ける。


※元気な赤ちゃんには、胸骨圧迫していません(圧迫する位置だけ確認しました)

<ポイント>
・子どもの場合、心肺停止の原因は心臓が原因の場合より呼吸が原因の場合が多い。
・子どもは大人より酸素消費量が多く、また、肺の中に酸素を留めて置けないため、短時間でも呼吸が止まると脳に酸素が行かず、脳が死んでしまいます。人工呼吸と胸骨圧迫で酸素を送り続けることが、とても大事です。救急車を呼んでから、到着するまでの間休まず続けましょう。
胸骨圧迫の速さは、1分間に100回〜120回。遅すぎても速すぎてもダメ。
・人工呼吸は、軽く胸が上がる程度に息を吹き込む。吹きすぎて、胃に空気が入ってしまわないように気をつけましょう。
人工呼吸の速さは、1秒に1回

< 質疑応答 >
Q 頭を打っても、泣いたら大丈夫ですか?
A 頭を打った場合は、24時間は目を離さないで気をつけていてください。

Q 吐いた場合は病院に行ったほうがいいですか?
A 吐いたら、病院に行ってください。
病院に行く必要があるかどうか迷うこともあると思います。病院に行ったら、様子を見るための注意事項を書いた用紙がもらえるので、心配な時は行くことをおすすめします。

【 まとめ 】
① 頭を打ったけれど意識がある場合は、24時間様子を見る。嘔吐したら病院に行く。
② 呼吸をしているけれど、意識がない場合は、119番通報をして横向きの「回復体位」で救急車を待つ。
③ 意識がなく、心臓も呼吸も止まっている場合は、119番通報をして、人工呼吸2回と胸骨圧迫30回を、救急車が到着するまで繰り返し続ける。

乳幼児の救急講座(5)救急車を呼ぶときのポイントへ続く

※ (4)転倒をして頭を打った時の対応のまとめ(PDF)はコチラ